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革命記念日7月11日・12日を中心に行われる、年に一度の国を挙げての祝祭、老いも若きも国中が、相撲・競馬・弓射に熱狂する。
ナーダムの歴史
太古から家畜が多く乳を出す恵みの夏に行われてきた、大地の神と祖先に捧げる氏族の祭りが起源と言われている。封建時代には君主や貴族などの権威を広く示す行事となり、競技者は主人の威信に掛けて試合に臨んだ。戦士の選抜や教練、士気高揚のため、また戦の勝利や結婚などの祝い事の際にも催されるようになった。19世紀の中国の清朝支配時代には、チベット仏教の活仏を祝福する宗教行事として催され、大規模になった。社会主義時代に現在の国家祭典的行事の形になり、民主化以降チンギス・ハーン時代の幟(のぼり)を使用するなど、民族色が強く打ち出されている。地方のナーダム
ウランバートルで開かれる国のナーダムの他に県や郡の中心でもそれぞれのナーダムが、7月初旬から夏を通じて開かれる。人口数千人の小規模なソムでも、必ずナーダムのための競技場があり、毎夏、モンゴル相撲・競馬などが行われる。普段家畜の世話に追われている遊牧たちが、よそいきのデールに身を包んで集り、日常をひととき忘れて楽しむ姿に「祭りの原点」を感じる事ができる。新しい動き
2003年、大統領令を受け「ナーダム法」が制定され、以降この法に基づいてナーダムを運営することになった。同年から競馬の会場が変更され、以前のヤールマグでなく、首都から30kmほど西方の草原(ドローンホダクという場所)で行われるようになった。ほかに、近年相撲の称号が2階級加えられたほか、力士はもちろん、競馬でも入賞馬を対象にドーピング、薬物検査が強化されつつある。ゴミの増加などの理由で、ナーダム会場のスタジアムでは缶やビン入り飲料が販売禁止になりました。モンゴル相撲
人々の関心が最も高い、ナーダムのメインイベント。国中の人々が家族や友人と酒を飲み交わしながら、スタジアムからのテレビ・ラジオ中継に釘付けになる。競技型式
国のナーダムに512人の力士(2006年には1024人の力士が参加)が参加し、トーナメント方式で対戦する。1回戦ごとに半分の力士が勝ち残り、8回戦(ナイムン・ダワー)が準決勝、9回戦(ユスン・ダワー)が決勝戦となる。
1、2回戦は称号(階級)の高い力士から順に半分までを、下位力士と取り組ませる。3回戦以降は高位の力士が相手を指名できる。決勝戦を除いては、多数の取り組みが同時に行われる。
ルール
区切られた、「土俵」がないモンゴル相撲では、相手が肘・膝・肩・頭・背中などを地面につけると勝ちとなる。日本の相撲との大きなちがいは、手のひらをついても負けにならないことです。出場に年齢制限は無く、若者に混じって白髪のベテラン力士の姿も見られます。手や足をたくみに使った「投げ技」と「倒し技」が中心で、緊迫したにらみ合いからのスピードあふれる展開、一瞬のすきをついて決まる豪快な技は見る人を魅了する。技(決まり手)の数は複合技を含めると400以上とも言われる。技を仕掛けられれば身をかわし、向かい合ったまま駆け引きが続くことも多い、数時間に及ぶ長期戦になることも少なくない。このため近年のルール改定で20分を過ぎて勝負がつかない場合は、四つに組ませる事になった。
力士の衣装
力士のゾドク(長袖で胸の開いた上衣)、短いパンツ(ショーダル)、先が反り返った形のモンゴルブーツ(ゴタル)、中央が塔のようにとがったジャンジンマルガイ(帽子)を身に着ける。(写真添付)
ゾドク、ショーダクは国旗に使われている赤、青の色が多い。力士の引退は、「ゾドクを脱ぐ」と表現される。これらの衣装はモンゴル国内の7割を占めるハルハ族のものが採用されていて、モンゴル国西部や内モンゴル自治区では衣装やルールが異なります。
称号
ツォルと呼ばれ、ナーダムでの勝数によってのみ、与えられる。上からアウァラガ、アルスラン、ガリド、ザーン、ハルツァグ、ナチン。一度優勝すると、アルスラン、2度優勝するとアウァラガになる。さらに優勝を重ねるとバヤン・アウァラガ、ダライ・アウァラガ、5度優勝するとダルハン・アウァラガと呼ばれる。7回戦に勝ちベスト4に残るとザーン、5回戦を勝ち進むとナチンとなる。一度得た称号は下がることはない。帽子の額部分のメダルは、高いツォルを得ていることを示す。アウァラガ、アルスランとなると、芸能人や政治家以上の有名人。勝負の見方
腿を両手でたたいて気合いを入れ、鳥が羽ばたくように勇壮に舞いながら、デール姿のザソール(介添え・進行役)のところへ入場。力士を称える詩句が唱えられた後、帽子を預け、ザソールの合図で向かい合っていざ勝負。勝負が決まると、勝者は幟のほうへ羽ばたいて行き、敗者は負けを認めたしるしにゾドクの前部のひもを解いて待つ。勝者が右腕を挙げると、敗者はその脇をくぐり抜ける。同時に進行する多くの取り組みを目で追うのは中々難しく、移り気を起こすと一瞬の「勝負どころ」を見逃すので注意!
競馬
この日のために、何百km、何千km離れたふるさとから集う馬自慢たしの「誇り」を背負い、子供騎手が懸命に鞭をふるう過酷な長距離レース。その主役は鍛え抜かれた駿馬と調教師だ。
騎手は子供たち
モンゴルの競馬の大きな特徴は騎手が6歳から12歳の少年少女たちであること。「馬上で育つ」といわれるモンゴル人の面目躍如とも言えるが、馬の負担を軽くしスピードを出させるためでもある。
色鮮やかなレース用衣装にゼッケン姿、緊張した面持ちの子供たちは、馬をレースに集中させ、励ますギーンゴーと呼ばれるメロディを歌いながら会場を周回した後、スタート地点に向かう。途中で騎手が振り落とされたのか?馬だけがゴールに駆け込んでくることもあれば、どうしても進もうとしない馬に途方にくれ泣き出す子もいて、草原を舞台にさまざまなドラマが毎年生まれる。
レース型式
アザラガ(種馬)、イヘ・ナス(6歳以上)、ソヨーロン(5歳馬)、ヒャザーラン(4歳馬)、シュドレン(3歳馬)、ダーガ(2歳馬)、ジョローモリ(側対歩馬)の各レースが行われる。2歳馬は15km、3歳馬は20km、4歳馬は25km、5歳馬は28km、6歳馬以上の成馬は30kmを数百頭が競争する。各レースの先着5頭を「アイラグ(馬乳酒)の5頭」と呼び、馬を称える詩句を吟じ、馬乳酒をかけて祝福する。ソヨーロン(5歳馬)のレースの土埃を浴びると、縁起が良いといわれる。
調教師
実際に「競争する」のは馬と騎手だが、「競争させる」のが調教師(オヤーチ)である。駿馬の身体的特徴や調教方法は伝統的に蓄積・体系化されており、それを体現し、入賞実績を重ねる優れたオヤーチの名声は大変高い。
慎重に選び抜かれた素質ある馬をナーダムの30日ほど前から近距離や長距離を走らせ、汗をかかせて体を絞り、速馬(ホルダン・モリ)に鍛え上げる。
レースの楽しみ方
ゴール付近はどの馬が先着するか見届けようとする人々とその馬でごった返す。地方ナーダムのほうが至近距離から見られる。ただし、人もレースに夢中で周囲に気を配る余裕はないので、馬に蹴られないようにくれぐれも注意してください。
レース中の様子を見たい人は、馬が通る経路沿いの高台などを見晴らしのよい場所に予め陣取り、遠くに目を凝らして近づいてくるのを待ちましょう。望遠レンズや双眼鏡があると便利です。
弓射
中世の世界を震え上がらせた、弓を使えた騎馬軍団の伝統は今も息づく。弓と矢、的
弓(ノム)は長さ120~170cm、伝統的な弓は主にオリヤス(ヤナギ科の落葉樹)を芯に牛や鹿などの角をニカワで貼り付けたもの。
現代の弓は竹の芯に鹿の腱を乾燥させたものにニカワで貼り合わせて強度を増し、両端をシラカバで加工している。
矢(ソム)は長さ1m、オリヤスやシラカバなどの木で作られ、鷹などの羽が付いている。矢じりには大鹿の骨が使われている。
的は、高さ、直径とも8cm程度の円筒状をした革製のソルを積み上げて作る。壁のように積み上げたものをハナ・ソル、30個を2層24個、両脇に3個ずつ積み上げたものをハサー・ソルという。
競技型式
個人戦と団体戦がある。個人戦は成人男性がハナ・ソル20矢、ハサー・ソル20矢の計40矢、女性がハン・ソル20矢、ハサー・ソル16矢の計36矢(17歳以下の男女ともハナ・ソル20矢)を射て、命中した姿を競う。団体戦は8~12人が一組となり、4矢ずつを射かけて競う。
的までの距離は男性75m、女性65m(17歳以下は男子が年齢×4m、女子は年齢×3mで計算)。的の後ろと、手前3mに線があり、矢がソルに命中するか、前線を越えて落ちてソルにあたり、ソルが後ろの線を越えたときは得点になります。
命中すると付近に立つ複数名の審判が両手を挙げて「オーハイ」と声を上げて知らせる。観客も「的中」「惜しい」などと声をかけ一体となって楽しむ。優勝者には「メルゲン」の称号が与えられる。
弓射の流れを汲むものとして、羊のくるぶしの骨シャガーを積み上げた的を用いた射的競技も行われている。










