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モンゴル登山

モンゴルのおもな山域は、アルタイ山脈、ハンガイ山脈、ヘンティー山地のふたつの山脈とひとつの山地、ハルヒラーとフブスグルの山群に分けられる。アルタイは全長約1800km、西部をモンゴル・アルタイ山脈、東部をゴビ・アルタイ山脈という。このアルタイ山脈に並走して、国土の中央部には全長約700kmのハンガイ山脈があり、さらにハンガイの東方にヘンティー山地が隆起している。
また、これらの山脈より小さい山地がふたつあり、ひとつは西部の、かつて東京外語大山岳部が日本から初めて入山したハルヒラー山地で、もうひとつは北部のフブスグル県にあり、岩山が多く、モンゴルのスイスと呼ばれるフブスグル山地である。

登山に適する季節

一般的には6月から10月の夏と秋である。モンゴル国内のほとんどの道路は未舗装でまとまった雨のあとはぬかるみ、山に近い所では橋もないことから、アプローチの苦労をすることが多い。登山のためのベストシーズンは、雨も少なくなった8月中旬から10月初旬となる。
モンゴルでの登山は、技術的には日本の春山から冬山程度のものである。アプローチでは多少苦労するが、登山だけを目的にせずに、この国でしか体験できない大草原の旅も楽しみたい。草原の草花が美しいのは6-8月初旬まで。幻の魚イトウなどのフィッシングも含めるとなると8-10月が適期となる。

おもな山域

モンゴル・アルタイ山脈
アルタイ山脈の西端のバヤンウルギー県から、東のホブド県、ゴビ・アルタイ県の3県にまたがる東西約600kmの長大な山脈をモンゴル・アルタイ山脈といい、3000-4000m峰が連なっている。なかでもモンゴル、ロシア、中国の3国の国境が交わるタバン・ボグド山群には最高峰をはじめ、氷河を頂く4000m峰があり、高度のアイステクニックを要する氷壁登攀や山岳スキーも行われている。
この山群の中央には長さ約20km、幅2-3kmのポターニン氷河があり、大小さまざまなクレバスが開いていて登山者を悩ませる。
ポターニン氷河周辺の他の登山対象としては、マルティン峰、ソウラク・ハイルハン峰、ブリギット峰、ナイラムダル峰などがあり、ひとつのベースキャンプから登山ができる。
この地域の気候は緯度が高く、また、標高も高いため夏季においてもたびたび降雪がある。気温は最高14℃程度だが、悪天になると氷点下に下がる。

ツアンバガラブ山群

モンゴル・アルタイ山脈から東に少しはずれたバヤンウルギー県とホブド県の境界付近に位置する。標高4000m級の山々が約3kmにわたり広がり、北西部のツァスト山域と東南部のツアンバガラブ山域からなり、そのためツァスト・ツアンバガラブ山群とも呼ばれる。
ムンフ・ハイラハン山域はホブドの南部約200kmに位置し、主峰スフバートル(4204m)を中心に、北方にバリラガチン峰(4150m)、南にナイラムダル峰(3950m)のピークが連なり、アルタイ山脈中部の核心地帯を構成している。これらの峰々の3200m以上は雪氷に覆われていて、懸垂氷河もある。ホブドからハイルハンソムまでは約155km、さらにベースキャンプ地までは氷河によるU字谷のドロ・ノール川に沿って約45kmである。

ソタイ

別名ツァスト・ボグド・オーラ(雪をもてる聖山)と呼ばれ、天に一番近い所として神聖視されている。位置的にはアルタイ山脈の東端からすこし東に離れてそびえる独立峰で、4090mの頂上は万年雪に覆われている。

ゴビ・アルタイ山脈

モンゴル・アルタイ山脈に続く東半分として、バヤンホンゴル、ウブルハンガイ、ウムヌゴビの3つの県にまたがる山脈であり、東部に行くほど高度を落とし、最後はゴビの砂漠の中に消えている。最高峰はバヤンホンゴルにあるイフボグド(3957m)で、東にはバガボグド(3590m)がある。イフボグドは「大きな山」の意味で、北鈄面中腹にふたつの神秘的な池をもち、1km2もあるような平坦な頂上をしている。
ゴビ・アルタイ山々は万年雪や氷河もなく、近代登山の対象にはされなかったが、テンゲル信仰の聖山としてモンゴルの人々に登られ、頂上には石積みのオボーがある。

ハンガイ山脈

この山脈はモンゴルの中央部に位置し、気候的に雨量が多いため森林が発達し、植物も豊富である。最高峰は、ザブハン県のオトゴン・テンゲル(4021m)である。オトゴン・テンゲルは「白い鳥の山」とも呼ばれ、モンゴルではもっとも有名な聖山で、日本の富士山のような存在である。

ヘンティー山地

首都ウランバートルの北方からロシア国境に向かって2000m級の山々が連なる山域で、タイガの針葉樹林帯の上に大石の積み重なったような稜線が続いている。
アス主峰のラット・ハイラハン(2800m)は万年雪もなく、標高的にも高山といえないが、モンゴル人の間ではテンゲル信仰の名山として知られ、山頂にはハダク(布)や賽銭の供えられた石積みのオボーがいくつもある。

ボグド山

ウランバートルの南にトーラ川を挟んで見えるなだらかな山並みで、古くはボッド・ハーンのお狩り場であり、現在は国立公園で鳥獣保護区になっている。かつては頂上にも石造りのチベット仏教の寺があったが、現在は岩壁にいくつかの仏画が残っているのみ。この岩場の上からは、ウランバートルの全景を見ることができる。

ハルヒラー山群

モンゴル・アルタイ山脈の北方にあるウブス県には、モンゴルへの最初の日本隊である東京外語大隊が登ったハルヒラー山地と、それに続くトゥルゲン山地がある。
ハルヒラー山地の主峰はツァガンハルヒラー(Ⅰ峰、4037m)でトゥルゲン山地の主峰はツァガン・デグリー(3965m)である。

フブスグル山群

この山域はロシア国境のウラン・タイガ山域、フブスグル湖の西岸に南北に連なるホリデル・サリダグ山域、および北部ロシア国境のサヤン山脈の3つの山域から成り立っている。この山域はモンゴルでは珍しく岩峰が多く、岩登りを主体とした登山ができる所でもある。
ウラン・タイガ山域の主峰は3351m峰で、モンゴル山岳会隊により1℃登頂されたと聞くが、年代などははっきりしない。山容はタイガという名にふさわしく、針葉樹の原生林につつまれた雄大な奥深い山で、アプローチも長く、トナカイや狼が多い山域である。
ホリデル・サリダグ山域の主峰はデルゲルハーン峰(3240m)である。西側のダルハド盆地から見るとタイガの樹林帯の上につき出たマッターホルンのような山容で、とても登れそうに思えない。またベースキャンプ地までは湿地とタイガの林の中を行くため、8月中旬までの雨の多い時期は避けたほうがいい。
日本隊では、1994年に日本アルタイクラブ隊が東壁中央ルンゼから登頂している。

モンゴル登山のアドバイス

モンゴル人の精神生活における特徴は、テンゲル、つまり天を敬うことである。その天に連なるものとして山があり、草原や峠で見かける石積みのオボーがある。
また、遊牧民共通の宗教形態であるシャーマニズムから、天、山、湖などを尊ぶ。山に対する信仰心は強く、山名も、ボグドオール(聖山)、イフボグド(大聖地)など、尊いものを意味する名が多い。
そして、日々の生活をシャーマニズムの占いにたよるモンゴルの遊牧民たちは、異常気像や家畜の病気の発生などを、外国人の登山によって山が汚されたからではないかと考える場合がある。
トラブル防止法としては、事前に宗教や国民性を知り、地元の遊牧民には、モンゴル側スタッフを通じて登山の了解を取っておくことが必要である。登山にあたっては自然を汚さないように気を配り、頂上のオボーを崩したり、ハダクなどを持ち帰らないようにしたい。

国境の山に注意

タバン・ボグド山群はモンゴル・中国・ロシアの3国国境にあり、モンゴル側の説明によると、それぞれ望遠鏡で監視されており、越境すると発砲もあり得るそうである。1993年にはモンゴル人ガイドとイギリス人がロシア側に越境して問題を起こしている。各国とも国境線上の問題には神経をとがらせているので、不用意な越境などで、国際問題にならないように注意しなければならない。

食事について

モンゴルの食事は、羊に始まり羊に終わるといえる。日本人はモンゴル人の消化酵素と違うせいか、3日も羊肉や乳製品を食べ続けると下痢をし、胃腸をやられることが多い。登山前に病気は気力と体力を失うので食事には充分注意し、登山中は日本から持参したインスタント食品を利用するのが一般的である。食料計画にあたっては、乾燥野菜、ビタミン剤なども用意したい。また、下痢その他の病人食も考えておくできである。
水にも注意が必要だ。都市部以外では河川の水を飲むわけだが、一見きれいに見える水にも羊などの放牧で糞、尿が流れ込んでいる。ときにはタルバガンのペスト発生もあるので、必ず煮沸すべきである。なお、ミネラルウオーターはウランバートルでも購入できる。料理などに必要な燃料は、ガスボンベの飛行機への持ち込みが禁止されているので、一般的にはガソリンを使う。たまに中国から輸入したプロパンガスを使用できることもある。ハンガイ山脈、フブスグル山群、ヘンティ山地では薪が使用できる。

アプローチでの注意

砂漠地帯では毒ヘビや毒グモ、北部のタイガの森林帯ではシベリアヒグマ、オオカミなどに注意したい。特にフブスグルやヘンティ山地にはヒグマのテリトリーもあるので、登山などで入域するときにはモンゴル人のガイドを雇い、集団で音を立てながら通過するなどの対策も必要。

日本から持参したい装備など

モンゴルの7~9月は旅行に最適な季節だが、大陸性気候のため昼夜の気温差は大きく。山間部などでは急に雨が降ったり気温が下がったりする。したがってゴアテックスなど新素材の雨具、ヤッケ類、薄手のセーター、帽子、手袋を用意したい。荷物になるが、3シーズン用のシュラフを持参すると心強い。体調の悪いときは使い捨てのカイロも役に立つ。
フブスグル方面など北方のタイガ地帯を目指すなら、釣りで使うような保温兼用の長靴や虫対策の頭からかぶるネットや蚊取り線香が必要だ。また、モンゴルでは都市部でも停電がよくあるし、草原のゲルではトイレは外にあるので、懐中電灯やヘッドランプは必携。替え電池も多めに用意したい。
多人数でトッレキングをする場合、環境保護のためにも、小型のスコップを持参してトイレ用の穴を掘り、きちんとした後始末を心がけたいものです。ともあれ、モンゴルは日本の約4倍の面接があり、草原、砂漠、森林、氷河、万年雪、岩場など、地域によっても季節によっても装備は異なっている。



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